実物のホルスターを調べていると、よく分からない言葉が出てきます。代表的なのが「デューティー」「ミリタリー」、そして「リテンションレベル」です。なんとなく雰囲気は分かるけれど、はっきりとは分からない。実は私自身、ミリタリーとデューティーの違いが分かっていませんでした。
今回、期せずしてレベル1からレベル3までのホルスターが揃ってしまったので、これを機に整理・考察してみたいと思います。
ミリタリーとデューティーの違いについて
結論から言うと、ミリタリーは「軍隊の」「軍人」、デューティーは「任務」「職務」という意味です。つまり、ホルスターを装着する人が軍人なのか、警察官なのか、という違いです。
身を置く環境が戦場ならミリタリーホルスターを、警察官やFBIなどの法執行機関で装備するならデューティーホルスターを選ぶ、ということになります。
ミリタリーホルスター
戦地で使うホルスターに求められる性能は、端的に言えば「激しく動いても落とさない」ことです。必要なときにすぐ抜いて撃てることも欠かせません。一方で、銃を奪い合うような対人戦闘は想定していないため、銃を奪われる心配はあまりありません。
デューティーホルスター
対して、警察官などが使うホルスターに求められるのは「相手に奪われない」ことです。容疑者や犯人と近接して行動するため、銃を奪われないようにする必要があるからです。
リテンションレベル
ここで重要になるのがリテンションレベルです。これは「銃を抜くまでに必要な手順(動作)の回数」を表しています。動作が増えるほど銃は奪われにくくなりますが、その分、抜くのに時間がかかります。つまりリテンションレベルは「安全性」と「抜きやすさ」のトレードオフであり、自分の置かれた環境に合ったレベルを選ぶことが大切になります。
ところが、ここで困ったことが起こります。「レベル2ホルスター」と言っても、人によって解釈が違うようなのです。ある人はALS付きを想像し、ある人はSLS付きを思い浮かべ、またある人はALS/SLSこそレベル2だと考えています。同じ呼び名にいくつもの解釈があると、「レベル2ホルスター」という言葉自体が意味をなさなくなってしまいます。実際に「レベル2ホルスター」と検索してみると、確かにさまざまな説明が出てきます。
さらに調べていくと、原因はそもそもの基準である「レベル1ホルスター」の定義が、人によって異なる点にありました。
二つのレベル解釈
ホルスターといえばサファリランドですが、そのサファリランドは、ロックなしのホルスターをレベルの対象に含めていません。
一方、一般的な業界では「ロックなしのホルスターをレベル1」と定義しています。
出発点であるレベル1の解釈が違うため、その後に続くレベルの解釈も丸ごとずれていく――これが混乱の正体です。根本的な原因は、ホルスターのリテンションレベルに「公式な決まりが無い」ことにありました。
サファリランドのリテンションレベルの定義
- ロックなしホルスター → レベルなし(対象外)
- ALSのみ → レベル1
- SLSのみ、またはALS+ALSガード → レベル2
- ALS+SLS → レベル3
一般的な業界・ユーザー側の定義
- ロックなし → レベル1
- ボタンやレバーなど能動的な解除が1つ → レベル2
- さらにフードやストラップを追加 → レベル3
ALS、SLSとはなにか

この写真には、ALSとSLSとALSフードガード及びRDSフードガードが写っています。ALSガードは付いていません。装備されているレベル3ホルスターとなります。中央の黒いレバーがALS、上にパカッと上がっているのがSLS、手前に伸びているのがALSフードガード、SLSの向こう側にあるのがドットサイトカバーになります。
ALS(AUTOMATIC LOCKING SYSTEM)
ホルスター内部にロック機構があり、銃を収めるだけで自動的にロックがかかります。解除はかんたんで、親指でレバーを後方へ押し下げるだけです。
ALSガード
ALSレバーを覆うカバーです(私は持っていませんので、上の写真には写っていません)。これを装着すると ALSホルスターをレベル2リテンションに引き上げることができます。偶発的な操作や、不正な操作(他人が勝手にレバーを操作するなど)を防ぐ役割もあります。🔗 ALSガード
ALSフードガード
フードガードがあることによって、ALSを相手側から操作できない様にガードします。このフードガードの有無はホルスターレベルに影響しません。
ドットサイトカバー
RDSフードガード、オプティックカバーとも呼ばれます。RDSとはRed Dot Sight の略で、要するにドットサイトの泥除けです。このカバーの有無はホルスターレベルに影響しません。
SLS(SELF LOCKING SYSTEM)
回転式のフードで、銃に蓋をするようにしてロックします。ALSとは違い、銃をホルスターに収めただけでは自動でロックされません。必ず自分で蓋をするように動かしてロック操作をする必要があります。銃を奪い取ろうとする試みに対して、高い防護力を発揮します。
フードを開放しておけば SLSが付いていないのと同じ状態にすることができるので、必要に応じてホルスターレベルを調整することが可能となります。
ALS/SLS
上記のALSとSLSを組み合わせたものです。SLS単体のホルスターはあまり見かけないので、実質的には「ALSの次はALS/SLS」と考えてよいでしょう。
レベル別の違いと使い分け
レベル0ホルスター
サファリランドの場合、ロックなしのホルスターはレベルの対象外とされています。ただ差さっているだけなのでサッと抜けますが、ロックされていないので落とす可能性があります。シューティング競技用やコンシールドキャリー(ズボンの内側に隠して持つためのホルスターなど)がこれに当たります。サファリランドはレベル対象外としていますが、ここでは便宜上「レベル0」と呼ぶことにします。
レベル1ホルスター
ALSロック付きのホルスターです。戦場など、相手に銃を奪われる心配がなく、素早く銃を抜く必要のある場所で使われます。銃が落ちないようにロックされていますが、ワンタッチでロックを外すことができます。サバイバルゲームで使われるホルスターも、レベル1が一般的です。
レベル2ホルスター
SLSロック付きのホルスターです。主に警察官など、相手と近接して行動する人が、銃を奪われないことを想定して作られています。ロックの解除に二つの動作が必要なのが、レベル2ホルスターです。
レベル3ホルスター
ALS/SLSホルスターです。レベル2ホルスターに、さらにもうひと手間加えないと抜けない仕様になっています。レベル2と同じく、相手と近接して行動し、銃を奪われたくない人のためのホルスターですが、パトロールや一般的な警察業務で最も広く使われているモデルです。
レベル4ホルスター
レベル3よりもさらに「人に奪われる可能性が高い場所」で使われるホルスターです。主な使用先は刑務所などです。当該施設以外ではあまり需要がないので、ここでは割愛します。
| ホルスターの仕様 | サファリランド公式基準 | 一般市場での通称 |
|---|---|---|
| ロックなし | 規格外(レベルなし) | レベル1 |
| ALSのみ | レベル1 | レベル2 |
| ALS+ALSガード | レベル2 | ? |
| SLSのみ | レベル2 | レベル2 |
| ALS+SLS | レベル3 | レベル3 |
まとめ
ホルスターのリテンションレベルは、ひとことで言えば「銃を抜くまでに必要な動作の回数」です。数字が大きいほど奪われにくくなりますが、そのぶん抜くのは遅く、扱いも難しくなる。だから「レベルが高い=良い」ではなく、自分の使う環境に合わせて選ぶのが正解です。
そして今回いちばん引っかかっていた「レベル2ホルスターとは何か?」という問題。結局のところサファリランドの基準と、世間で出回っている呼び方がそもそもズレていることが混乱の正体でした。同じ「レベル2」でも、サファリランド公式では SLS(またはALS+ALSガード)を指し、一般市場では ALSがひとつ付いただけのものを指していることがある。これでは話が噛み合う訳がないのです。
迷ったときは、それは何基準なのか(サファリかそれ以外か)を確認するのが確実です。そもそも基準が幾つもあるなんて知っている人はほとんどいませんから、「空気を読んで話す」しかありませんね。
用途でのざっくり目安ミリタリー(速く抜きたい)=レベル1/デューティー(奪われたくない)=レベル3。サバゲーなら抜きやすさ重視でレベル1で十分、というのが個人的な結論です。
よくある質問
レベルが高いほど良いの?
いいえ。レベルが上がるほど銃は奪われにくくなりますが、抜くまでの動作が増えるぶん、咄嗟の速さは落ちます。「安全性」と「抜きやすさ」のトレードオフなので、自分の用途に合うレベルを選ぶのが正解です。至近距離で揉み合う可能性がないなら、高レベルはむしろ邪魔になることもあります。
ALSとSLSはどちらが速い?
ALSのほうが圧倒的に速いです。ALSは親指でレバーを押すワン動作で、あとは真上に抜くだけ。ひねりも余計な動きもいらず直感的です。SLSは回転式フードを操作する手間があり、解除に二動作ぶんかかります。スピードだけならALSに分があります。しかし、SLSは跳ね上げておけば無いのと同じ状態にできますので、有っても無くても問題ないとも言えます。
サバゲーにレベル3は過剰?
サバゲーで使うなら、自分で好きなものを使えば良いのです。どうせ実銃ではないのですから。
前述の通り、ALS/SLS ホルスターの SLSの部分は、自分で開閉する必要がありますが、開いておけば無いのと同じになります。要するに、SLSフードを跳ね上げておけば、それはALSのみのレベル1ホルスターとして機能するということです。大は小を兼ねるではないですが、レベル3ホルスターは、レベル1を兼ねているのです。
私はマルチカムブラックのパンツを履く時は、同じくマルチカムブラックのレベル1ホルスターを使用。ブラックのパンツを履く時は、レベル3のブラックのホルスターを使用しています。ハンドガンを使用するタイミングがありそうなゲームでは、フィールドインのタイミングで SLSを跳ね上げていますので、実質的にはいつもレベル1ホルスターを使用していることになります。
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