国道58号線を走ると何故か目に留まる店。それが孔雀楼である。古くから存在している中華料理店であることは、その見た目から明白であるが、なかなか訪れることができずにいた。謎に満ちたその存在は「なんとなく気になる店」として既に10年以上、私の中に君臨していた。そしてついに、そのベールが脱がされる日が来たのである。
馴染みはあるけれども初来店というシチュエーションに、なんとなくドキドキしながら店に近づくと最初の関門は駐車場。店の前に駐車場を指し示す矢印を見つけて裏手に進むと、そこには広い駐車場があった。広いにも関わらず多くのクルマが停まっていて、空きスペースも程よくあった。なんとなくホッとしながら出口に一番近い場所を選んでバックで停める。
店に入ると一階は受付スペース。案内係が階段を手のひらで指し示し「お二階へどうぞ」という。絨毯張りの階段を促されるままに進み、上階に辿り着くと係員がやってきて「こちらへどうぞ」と壁際のテーブル席に通された。メニューを見るとまあ普通の中華料理店であるのが分かる。エビチリや麻婆豆腐などの代表的な料理が 2,000円~3,000円のレンジに居並び、食べたいものをアラカルトで頼むと、二名では多すぎて、しかも高くつくという、いかにも中華料理店あるあるな感じだったので、北京ダックセットというのを注文した。
日曜日の午後7時。三月も後半だというのに冷たい風が吹き、外出するのが憚られる天気だったが広い店内は半分ほどが埋まっていた。そしてそのほぼ全員が地元民だ。カップルや家族連れや仲良しグループなどで、観光客は皆無。
まずは生ビールがやってきた。大好きな冷え冷え生ビールで意表を突かれる。「うーん、ここはまた夏に来よう!」そう思わせるグラスの凍り具合が高評価。
次に出てきたのが前菜盛り。無理やり一皿に詰め込まれた感じがやっつけ感がスゴイ。そしてエビチリ、小籠包、青椒肉絲、レモンチキン、キノコのスープ、北京ダックと立て続けに料理が続く。
味はどれも至って普通で、すべての皿を一口づつ食べると満腹になった。予想通り二人で食べるには多すぎて、ほとんどの料理を残してしまった。これは逆に言うと、どれも完食したくなるほどの味ではないということだ。とにかく全ての味が普通なのだ。しかし特筆すべきはこれだけの料理が出てきて税込5,600円というコストパフォーマンスの高さ。沖縄ならではと言うべきなのだろうか、安くて大盛り。ここは地元の人に愛される店なのであった。
ずっと気になっていただけに、どんな店なのかが分かったことに対する満足感は高いが、恐らく再訪はない。もしかすると真夏に思い出して、生ビールと冷やし中華(あるのか知らないけど)を食べに来るかもしれないけれども。
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